Produced by Improbic.inc 敗者復活力-出版記念特別対談
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第4回

廣田流「人の育て方」

加井 廣田さんはサティスホームの成功後、たくさんの会社を作り、今は七人の社長を育てられています。ポリシーに「事業を後進に譲る」というお考えがあると言うことなので、こちらを詳しくお伺いしていきたいと思います。

いつぐらいから事業を後進に任せようと思われたのですか?
廣田 いつごろかと言うと、サティスを立ち上げて1年ですね。
その時から、平先生にそういっていました。
加井 なるほど。なにかきっかけがあったのですか。
廣田 理由はたくさんあるんですけど、一番大きかったのは、
社長になったら変わると思ったからです。
加井 というと?
廣田 ボクサーは練習しろと言われなくても、強くなりたいから練習するんですね。
社員も最終ゴールが経営者になれるなら、頑張るようになります。それに経営者になったらなったで、また人間大きく変わりますし。これが一つの大きな理由です。
加井 なるほど。
廣田 それと、あと私が飽き性なので、社長業も長く続かないだろうと思ったことがあります。
そんな感じで始めたのですが、実際やってみると、非常に効果が高い。それなら私はもう社長はやらずにいこう、そう考えました。
廣田さんは人を一人前にしたいんだよ。で、一人前にするには、責任者になるしかない。だから、廣田さんはその最短の道を考えてやってるんだと思うね。
加井 七人の後進に事業を任されて、実際に大変だったこととかってありますか。
廣田 苦労と感じたことはないですね。楽しいです。もちろん出来の悪いのもおります。うち、赤字は一社だけなんですよ。ひょんなことからグループリーダーになったやつなんですけど、そいつのことがかわいいんで、なんかしてやるのは苦労でも何でもない。
廣田さんは、リーダーにセミナーや講習などを全部、自費で行かせる。勉強したいんなら自分で行けって、そのへんはどうしてですか?
廣田 その方がフェアだからです。おれがお前にかけてやる。その代わり、お前もリスクしょえよって。この間、エルハウスからうちの会社に来てもらったとき、うちの若い社員が「エルハウスで勉強したいんですけど、許してもらえますか。当然、休みの日に自分の金で行きますから」、と言ってきました。若い子らにも、おれらの考え方が理解されてると思って、とてもうれしかったですね。
成功しないやつは人の金でやろうとするね。そういうことを。
廣田 会社に強制されたセミナーで伸びる人間はいませんからね。私は昔、会社に行かされたセミナーでずっと居眠りして帰ってきた記憶があります(笑)
大体そうだよね(笑)
自分の金でセミナー行ってきて、それで儲けたら、その分社長が金出すよね。
廣田 そうですね。うちの会社は給料にすぐ反映します。今月の売り上げもミスも今月の給料に反映します。効きますよ。
廣田さんには伝説があるんです。ミスをして会社の金に穴をあけた営業マンがいて、その人に「おいこれからちょっと行くぞ」、って。「どこにいくんですか」っていわれると「サラ金だ」。(笑)
廣田 借りてこいと。半分、会社も出したるさかいに、お前が原因やからもう半分は持てよ、と。上手く行けば、その分給料もらうんですよ。なら、失敗したらその分も持たないとおかしいじゃないですか。実際、サラ金には借りささないですけど、こういうもんやと分かって欲しかったんです。
会社に依存するような社員は、本当に駄目だと思うね。
廣田 その点、先生も私も共通なのが、一人ひとり自分の足で立てるやつが集まって欲しい、他人に依存するやつはいらないところですね。助け合うのは良い、でも依存はいらない。
おれの身に染みついてるんだけど、最後は結局、自分で自分をみていかないといけない。だから、社員には自分たちで稼いで、その金から給料をもらってほしい。そのために、うちの会社でも入ってすぐに担当をもたせたり、リーダーにしたりとかよくあるね。
廣田 日本全体が週歩合制だとか、月歩合制になれば、みんな頑張りますよ。
加井 確かにそうですね。さて、先ほど、グループリーダーにすべてを任せているとおっしゃいましたけど、リーダーを選ぶ基準って何かありますか。社員を選ぶ基準は、その人が好きかどうかとおっしゃいましたけど。
廣田 ぼくの基準はまずそれですね。あと、グループリーダーになったら、そいつに会社の印鑑も通帳も登記も全部渡すんですから、極端な話、そのままドロンできますよね。なので、ほんまに信用できるやつじゃないといけない。ただ、うちの会社の場合、グループリーダーつまり社長を選ぶのは選挙です。
加井 選挙ですか。
廣田 ええ、多数決。うちの社員が誰を選ぶかです。例えば、三重のサティスでもう一回、いちから選挙したとしても、満場一致で小林になります。みんながこの人に預けたいと思う、それが社長の条件です。インプロビックのみんながもし選挙で社長を選んだら、誰になると思いますか?
網倉かな(笑)
加井 いや、平社長でしょう。
廣田 平先生のほかに考えられないでしょう。これが社長の条件です。先生という船にみんなが乗るんですよ。
加井 なるほど。平先生は、事業を任せるという点については、どういった考えを持っていらっしゃいますか?
私は考えずに任せるところがあって、最初からあんまり期待していないね。うまくいけばそれでいいし、だめだったら仕方ないっていうのが、私の考え方かな。チャンスは与えるけど、それに乗っかるかどうかは、その人の力量や考え方次第。ただ何をするにしても、やっぱり熱意が大事だね。眼が死んでるやつには何も頼めないし。
廣田 熱意があれば、スキルは後付けでもついてきますもんね。
加井 ありがとうございます。さて最後に、社員を上手く活かせてないと悩まれている経営者の方は多いと思いますが、「廣田流」人の育て方を教えて頂けますか、さっきのべたべたも一つあるかと思いますが。
廣田 それもそうなんですけど、漠然とした事で言うなら、「育てる方も大変やって分かってます?」ってことですね。選手とトレーナーってどっちが大変やと思います?トレーナーの方が大変なんです。選手は練習時間だけですけど、トレーナーは24時間考えていますから。
加井 教える方も真剣にならないといけないということですね。
廣田 そうです。人って簡単に育ちませんもん。常に考えて考えたうえで、育てることができてますかって。もし忙しかったり、そう言ったことが嫌いなら、教えるプロに任せればいいと思います。
加井 具体的に教えるとなると、どういったことを伝えられるんですか。
廣田 覚悟を持って、丁寧に教えることやと思います。教えるときって一言ではとても言えないことの方が多いですよね。うちの場合は、数字に変えて細かく丁寧に教えていきます。柔道でいうと黒帯レベルまで育てられるだけのノウハウは作っています。
加井 そこまで、細かく教え込むと言うことですね。
廣田 そうです。それは真剣に育てたいからなんですね。ボクシングのトレーナーは、自分の体調がどれだけ悪くても気にしませんが、選手が摂ったカロリーの量は気にします。ここまでやる覚悟を教える方が持ってますか?ということなんです。